障がい者の転職が難しい理由
障がいといっても身体障がい、知的障がい、発達障がい、精神障がいといったようにそれぞれ障がいの内容が異なる。また同じ障がい名であっても個人差が大きく、必要な配慮が大きく変わる点において周りが理解を深め、適切な職場環境を整えることが重要であり、長続きする秘訣であるが、現実問題として個別対応はなかなか難しいと思われる。
また、自身の障がいについて本人が良く理解し、苦手項目や出来ないことを予め企業側に伝え、合理的配慮をしてもらう必要があるが、本人も障がいへの理解が足りないとより転職が難しくなる。 実際、障がいによって就職転職の難しさに差がある。一番就職や転職が難しくないとされる障がいは身体障がい、次に知的障がい、発達障がい、最後に精神障がいと言われている。尚、障がい者雇用促進法が改正され、平成30年4月より障がい者雇用義務の対象として精神障がい者も加わった為、精神障がい者も障がい者雇用義務の対象となった。
加えて、同じ障がい名であっても治療方法やアプローチが違ったり、いくつかの障がいを併発している場合がある。故に体調の波や服薬の影響も考慮すべき点である。
障がい者雇用の求人数が少ない
1960年に障がい者法定雇用率が企業への努力義務として導入。1976年に義務化されていて、障がい者雇用は身体障がい者の雇用から始まっている。企業によっては会社設備を変更、対応し働くことの出来る身体障がい者は、すでに雇用されているケースが多くなってきているといえる。
確かに障がいが理由で仕事選びに制限が出ることもあるが、絶対にやりたい仕事に出会えないということは無い。先に述べた通り、働く障がい者の人数は年々増加している。
令和3年の時点で59万人近くの障がい者が仕事をしており、前年より3.4%増加し過去最高を記録している。
障がい者の実雇用率は2.20%、法定雇用達成企業の割合は47%になっている。令和3年度の法定雇用率未達成企業は約5万6千社ほどあり、そのうち63.9%は不足数が0.5人または1人とあと少しで法定雇用率を達成できる状況まで高まっている。
また、障がい者を一人も雇用していない企業は約3万2千社であり、未達成雇用企業の57.7%を占めている。
職種が事務などに限られて希望する職種につけない
障がい者雇用を産業別にみると、雇用されている障がい者の数は、「宿泊業
サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「複合サービス事業」以外すべての業種で前年よりも増加している。
産業別の実雇用率では、「医療、福祉」(2.85%)「農、林、漁業」(2.34%)「電気、ガス、熱供給、水道業」(2.34%)「生活関連サービス業、娯楽業」(2.34%)が法定雇用率を上回っている。
求人実例は下記の通りである。
・事務職
最も多いのは事務職である。事務職をいっても営業事務、経理事務、人事事務など必要なスキルにはそれぞれ違いがある。
・技術職
次に機械設計やシステムの構築を担う技術職の求人も多く行われている。経験やスキルを重視する分、事務職に比べて年収が高い傾向がある。
・プログラマー
年々需要が高まっている職種であり募集が多くなってきている。未経験からプログラマーに転職を希望する場合、就労移行支援や職業訓練校を活用し、経験と知識を積むのがおすすめである。
・軽作業
倉庫作業やピッキング、仕分けや社内の郵便担当など幅広い業務がある。未経験でも作業内容が覚えやすく働きやすい仕事と言える。
もし希望する仕事や選べる仕事が少ないと感じる場合、まず知識を深め経験を重ねることが大切である。就労移行支援や職業訓練校を活用し、キャリアアップやキャリアチェンジを検討することも視野に転職活動をしていくのを提案する。
正社員求人が狭き門
障がい者雇用促進法の改定によって民間企業での雇用が増加したものの、障がい者雇用枠の正社員の割合はわずか25.5%にとどまる。4人に1人だけが正社員という厳しい状況なのである。
障がい者の平均勤続年数は身体障がい者は10年2ヵ月、知的障がい者は7年5ヵ月、発達障がい者は3年4ヵ月、精神障がい者は3年2ヵ月となっている。こうした勤続年数の状況が、企業が初めから正社員登用をためらう原因の一つともいえる。
障害者が転職を成功させるには障がい者向け転職エージェントを活用する
ここでは、障害者専門の転職求人サイトの活用をおすすめする。代表的な障がい者専門求人サイトに「ランスタッド(チャレンジド)」、「マイナビパートナーズ」、「dodaチャレンジ」、「babnavi」等がある。
障がい者専門転職求人サイトを利用するメリットとしては、利用料が無料であること、PCを使える場所であればどこでも仕事を探せること、サイト登録に手間がかからないこと、サイトによってはキャリアアドバイザーに相談出来たりすることが挙げられる。
障がい者専門転職求人サイトに登録すると、個人では探すことの出来ないような企業求人や非公開求人などを紹介してもらえる可能性があったり、正社員採用の案件が多い点も魅力の一つだ。
また、身体障がい者や精神障がい者にとってネット上で仕事探しを出来ることは転職サイトの長所である。キャリアアドバイザーが自身の障がい特性に合わせたカウンセリングを行ってくれるのも大きなメリットといえる。
ハローワークの求人は、実際にハローワークに足を運ぶ必要がある上に、基本的に掲載無料である為、実態が見えにくい会社も少なくない。
面接日の調整や求人検索などめんどくさい事を代わりにやってくれる
障がい者専門転職求人サイトが提供してくれるサービスとして、専任のキャリアアドバイザーが求人から転職までのサポートをしてくれることはもちろんのこと、求人者のスキルにあった企業をピックアップして提案してくれたり、求人者に代わって面接日程の調整をしてくれたりといった手厚いサポートが受けられる。また、求人者自身では行いにくい面の交渉を代わりに担ってくれる。
非公開をゲットしたり高待遇の求人を狙える
先にも述べた通り、企業と密に連携が取れる為、ネットに載っていない非公開の求人募集にエントリーできることもある。また、同じ障害を持った方の採用実績やその方がどのように働いているのか等、細やかな情報を教えてくれることも転職求人サイトのメリットといえる。
加えて、受け入れ態勢の整った企業や障がいへの理解がある企業の求人が紹介してもらえる為、他とは異なる好待遇の求人を紹介してもらえるチャンスがある。
障がい者雇用に年齢制限はある?
厚生労働省による雇用対策法が改正され、労働者の募集・採用における年齢制限の禁止が義務化されたが、一般的には40代の転職は厳しいとされている。
障がいの有無に関係なく一般的に若い人材の方が長期的に企業に在籍してくれる可能性が高く、育成や昇進を検討しやすいということがいえる。
ただ、40代以上であっても経験・知識ともに豊富で、企業にとって即戦力であり入社後すぐに管理職として活躍できる人材であれば年齢のハンデはそんなに気にならないであろう。よって40代の障がい者であっても、柔軟に対応し、自身の経験や知識を存分に発揮できる、または新しいことに挑戦する意欲があることを企業にアピールすることが出来たら、年齢にかかわらず転職できる可能性が一層高まるといえる。
年齢制限はないが現実的には40代以上は厳しい
年齢によって雇用がされにくいのは直面する現実問題である。同じような職務能力であれば企業がほしいのは圧倒的に若い人材である。ただ、先にも述べたように、40代以上の転職において企業にアピールするポイントは若手とは異なり、若手にはまだない豊富な経験値や経験をもとに培った能力やノウハウ、人材育成力、そしてまだまだ新しい事へ挑戦する意欲をアピールすべきであると考える。
転職求人サイトではキャリアアドバイザーから助言を貰えたり、応募書類の添削や面背t対策など転職全般を手厚くサポートしてくれるので、40代以上でも転職のチャンスはたくさんある。
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