- 転職を繰り返す人は病気持ちが多い?
- 発達障害者・うつ病当事者は転職を繰り返すのはなぜ?
転職を繰り返す人=病気持ちが多いのか?の真相を知りたくありませんか?
これまで300名以上の障害者の相談にのってきた私が解説します。
この記事では転職を繰り返してしまう発達障害者・うつ病当事者に向けて「発達障害・うつ病が転職を繰り返す理由」といった内容を解説します。
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転職を繰り返す人は病気持ちが多い?
結論から言うと、病気や障害がある人は転職を繰り返す傾向にあります。
ではなぜ病気や障害があると仕事が続きにくいのでしょうか。
特に多い理由は以下の3つです。
離職理由①「人間関係」
病気や障害があると職場の人との人間関係がうまくいかずに悩むことが多いです。
例えばよくある悩みに以下のようなものがあります。
- 障害による困り感が伝わりにくく同僚から「怠けている」と思われる
- 障害により困難さのために仕事の効率が同僚よりも遅く悪口を言われる
- 障害を理由にいじめやパワハラを受ける
- 障害のために対人関係が苦手でコミュニケーションがうまくいかない
人間関係は仕事をする上でかなり重要な要素です。
そのため人間関係がうまくいかないことは離職の理由になりやすいです。
離職理由②「賃金」
障害者雇用で働いている場合、一般雇用に比べて賃金が安くなりがちです。
今まで福祉的就労をしていた人からすると一般雇用は給料が多いと感じるかもしれません。
でも過去に一般雇用の経験がある人にとっては賃金がかなり低く感じられます。
仕事内容や労力に比べて賃金の低さがネックになって離職や転職を考える人も多いです。
特に初めは普通に仕事をしていたけど、うつ病などで中途障害のような状態の人にとっては障害者雇用の賃金は不満に感じやすいかもしれません。
離職理由③「仕事内容が合わない」
仕事をしているといつでも自分に合った仕事ができるとは限りません。
ただ、障害や病気がない人の場合は多少自分に合わない仕事でもそれなりに対応できますよね。
しかし病気や障害があるとストレス耐性が下がったりできないことが増えたりするので、自分の適性から離れた仕事をするのが辛くなることが多いです。
うつ病が転職を繰り返す理由
実はうつ病を含む精神障害は、知的障害や身体障害などの他の障害と比べて特に離職率が高いと言われています。
他の障害種と比べてなぜ職場定着が難しいのか、その理由を解説します。
職場の人間関係が良くない
うつ病など精神障害は上司や同僚との人間関係を築くハードルになることがあります。
理由のひとつは、うつ病についての正しい理解が十分に広まっていないからです。
うつ病未経験の人の中には「うつ病は甘えだ」「気合いが足りない」など時代錯誤的な根性論を持っている人もおり、そのような人が職場にいるとパワハラやいじめの対象になってしまうことも。
またうつ病者本人も「自分は周囲に迷惑をかけているのではないか」「周りの人から良く思われていないのではないか」など考えすぎて疑心暗鬼になってしまうことがあります。
周囲の無理解とうつ病の特徴から、職場内での孤独感を強めやすい傾向があるんですね。
仕事が中心となり体調管理ができない
うつ病になる人は限界を超えて頑張りすぎてしまう傾向があります。
体調に異常をきたしそうになっても周囲の目が気になったり、「休んだら周りに迷惑がかかるのではないか」と考えてしまったりして、なかなか休めない人が多いからです。
そのため働きすぎて体調を崩してしまい離職に至るケースがあります。
上司からの指導を引きずる
うつ病の人は「反芻思考(はんすうしこう)」といって、ネガティブなことを何度も思い出しては繰り返し落ち込んでしまうことがあります。
そのため職場の上司から厳しく指導されると、気持ちの切り替えができずに何度も思い出して辛くなってしまうことも。
反芻思考の状態が続くとストレスがたまって鬱傾向が強まり、さらに反復思考に陥るという悪循環にハマってしまう人もいるので要注意です。
お休みが少ない
うつ病の人は人一倍疲れやすく、疲労回復にも時間がかかりがちです。
そのため規定の休日日数だと十分に疲労を回復することができず、どんどん疲れがかまってしまいます。
疲労が溜まりすぎるとメンタル不調が再発するリスクが高くなるので、特にうつ病の人は疲れる前に休むことが重要です。
発達障害(ADHD/ASD)が転職を繰り返す理由
精神障害に比べると、発達障害は離職率が低いと言われています。
ただし状況によっては発達障害が原因で職場に定着しにくくなってしまうことが多くあります。
その理由は以下の3点です。
職種と病気の特性がアンマッチ
発達障害の人は得意なことと苦手なことの差が大きいのが特徴です。
個人差はありますが、一般的に苦手と言われることに以下のようなものがあります。
【自閉症(ASD)の人が苦手なこと】
- その場に応じた柔軟なコミュニケーション
- 暑すぎたりうるさすぎる環境での長時間の作業
- 相手の立場に立った感情的な関わり
【ADHDの人が苦手なこと】
- 整理整頓や片付け
- 計画的な行動
- じっとしていること
業務遂行にこれらの苦手さが求められる場合、仕事で成果を上げたり達成感を感じたりすることが難しく離職に繋がることがあります。
生まれつきの脳の特徴なので、努力ではどうにもならないことが多いんですよね。
二次障害になる
ADHDやASDなどの発達障害は、二次障害としてうつ病になりやすいことが知られています。
発達障害者が二次障害になりやすい理由として以下のような事柄が挙げられます。
- 発達障害の特性に配慮してもらえず過剰なストレスがたまる
- ストレス発散の手段がなくストレスがたまっていく
- 身体感覚が薄いので疲れていることに気づけず過労状態になる
- 強い劣等感を感じ自己肯定感が低い状態が続く
発達障害の人はこのような特徴があるため、障害に理解のない会社で勤めていると二次障害としてうつ病や不安障害などに繋がるケースがあります。
仕事ができず上司や同僚から無能と思われる
発達障害の場合、得意なことだったりやり方がわかっていればできることはたくさんあります。
しかし仕事で苦手なことを求められたり、コミュニケーションがうまくいかず指示の意図をつかみきれなかったりすると、仕事をこなせないという結果になりがちです。
そうなると上司や同僚から正当な評価をしてもらえなくなってしまいます。
自己肯定感も下がるし、仕事へのモチベーションも上がらないですよね。
病気があっても転職を繰り返さない方法
病気や障害があると、確かに離職率や転職の回数が増えがちです。
でも全員がそうというわけではなく、中には一つの職場で長く働いている人もいます。
ではどうすれば離職率を下げることができるのでしょうか。
以下に病気や障害があっても転職を繰り返さないポイントを紹介します。
無理のない勤務形態にする
正社員やフルタイム勤務の方が魅力的に感じるかもしれませんが、人によっては短時間勤務の方が向いていることもあります。
フルタイム勤務だと心身に負担がかかりすぎて体調を崩してしまうことがあるからです。
正社員になれても長続きしなかったらもったいないので、勤務形態を決める時は自分の体調を見極めて無理のない時間帯から始めるのがおすすめです。
障害者手帳を持っていて働く自信がない人は、就労継続支援A型事業所でトレーニングをしながら就職活動をしていく方法もありますよ。
障害者雇用実績のある会社で働く
障害者手帳を持っている人の場合、
- 障害を隠して一般雇用をする
- 障害をオープンにして障害者雇用をする
という2つの選択肢があります。
『独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構』の調査によるとこの2つのうちで離職率が明らかに低いのは障害者雇用。
また、障害者雇用と一口に言っても会社によって対応が違ってきます。
障害者雇用に慣れていない会社よりも、障害者雇用の実績がある会社で働いた方が様々な配慮をしてもらえる可能性があります。
合理的配慮を要求する
合理的配慮とは、障害があっても人権が守れるように障害によって生じる困難を取り除くための調整や変更のことをいいます。
具体的にはこんな感じです。
- NG例:車いすユーザーに「うちは階段があるので不採用です」と拒否する
- OK例:車いすユーザーは1階フロアで働けるようにしたり、可能な範囲でスロープを設置したりする
個人的な理由での要望は無理ですが、障害に起因する配慮であれば一般雇用か障害者雇用かに問わず要求することができます。
ちょっとした配慮があるだけでグッと働きやすくなることが多いので、辛いことは無理をせずに上司に相談してみてください。
2024年には民間企業でも合理的な理由のない配慮の拒否は法律違反となります。伝え方は大事だけど、配慮してほしいことがあれば言っても大丈夫なんですよ。
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